質問に、何も答えられない私に、
加納先生は、教えてくれました。
「これは、細く、静かに降る雨。」
「そして、こっちは、じとじとしている重いうっとおしい雨」
「雨だって、いろいろな雨があるんだ。
君の書きたいものを、自然をよく見て書きなさい。
手本はその紙の手本じゃない。自然だ。」
そして、加納先生は、私に筆を渡し、言いました。
「では、書いてみなさい」
けれども、私は
今まで、私が知っていた習字とは明らかに違う何かに、
感動しつつも、すっかり当惑し、
渡された筆を宙に持ったまま、
やはりぼおっとフリーズしていたのでした。
そんな私を見て、先生は、
「では、一緒に書いてあげよう」
そう言って、私のうしろにまわり、
私の持っている筆を一緒に、
すっと、
持ってくれたのでした。
加納守拙先生1
加納守拙先生2
加納守拙先生3
加納守拙先生4
加納守拙先生5
加納守拙先生6
加納守拙先生7
加納守拙先生8
加納守拙先生9
加納守拙先生10